12年度の過去問、学術向け総合試験のまとめ（文学史）

建筑东仔

文学史
１、回答）作り物語り：「落窪物語」「竹取物語」「宇津保物語」；
歌物語：「伊勢物語」「大和物語」「源氏物語」（作り物語りにも属す）
日記：「土佐日記」「紫式部日記」「和泉式部日記」
作り物語：おおよそ平安時代の発達に伴い、注目されるが、中級貴族以下の子弟が宮廷に沿わず、自ら昔からの説話をまとめ、人間性と世の中の汚れものへ憤りを放し、そして文学から慰めを追いかける。例えば、「竹取物語」で五人の貴公子の話によって、不当に宝物を手に取ることで、上位貴族を皮肉ることを達成する。しかも、中編以上の幅が多く、ストーリーの成立と人物の構成が工夫される。

歌物語：794年、唐の衰退を見破り、遣唐使の停止をきっかけに、和歌の再興が強まるいっぽうで、和歌と物語の合流も実現させた。なお、国風暗黒時代が過ぎ去ったあと、和歌の地位を保つことができるほか、物語に多用されることで、作品にとって文学性そのものも加わった。例えば、作り物語りである「源氏物語」は和歌が何百首までも混じっているから、歌物語とも呼ばれる。それを除きすべても歌を中核に物語の成立を構じるが、和歌が大いに出てくるのも、文学高峰を促すことになる。

日記：女手を主として、仮名文字の発達とともに知識人に愛されるが、ひいては男性が第一人称を女性に託し、旅愁や死別の題を日記に書き記すこともある。日記と名乗りながら、浮き世の看破、処世の機敏まで含まれる。

２、回答）作者：松尾芭蕉；
鑑賞：現代語訳
月日は旅人のように、次々流し続けていくが、われらの人生はまさに旅客のようである。世を渡すには、馬を連れてでも年老いた頃まで辿り着くしかないが、居場所がなくも行ったりぱったりのところをしばらく家にせざるを得ない。その苦しみをいっぱい辛抱したあげく、とうとう旅道に倒れた人が多い。それより、むしろ苦を楽に転倒し、これを以て風雲の流れを楽しむほうがましだろう。どうせ拠り所がなくとも、道ばたで浮浪の人生を存分に味わいたい。今までその意は抑えきれずにいる。
作家の素性にて「ほそみ」「わび」の心境は創作に欠かせないほどだ。季語を趣とする俳句にしろ、紀行文の稽古にしろ、人の世から身を引き、自然の風情と溶け込むことが見られる。「生涯〜旅に死なせるあり」の心の「ほそみ」から、「風にさそはれ」それから世をさって「漂泊」の「わび」しい「おもひ」に至るまで、何れも生涯を渡って出世を諦めようと悟った結果となる。

３、回答）私小説：自然文学の転承を期に、反自然文学と併存して前期の自然主義をプライベートな心境解明に引っ張るが、社会離れのテーマがほとんどでありながら、自分の身の上話を通じて小説のあらすじを構図する。前期の島崎藤村が「部落民」のズレを自らの体験と一緒に研ぎだすのに対し、その後、徳富蘆花の「蒲団」と志賀直哉の「城の崎にて」はまったく社会のあり様から目をそらし、自らの小さな体験をストーリーの展開とともに研ぎ澄ましてみる。例えば、「蒲団」の主人公は作家の弟子愛から、恋のライバルにジェラシーを生じることを再現したが、「城の崎にて」も自らの生死観を説くに、電車線に転落したところ、無事で軋まれず、とうとう生還した話から、イモリ、はちとネズミの三匹の小動物がいかに死んだあとの静けさをしのぐかを読者に味わわせる。小説の主人公であり、また作家自身である構成は、作品の真実味と情感の切磋琢磨さはさらに切迫してくる。